人気のホットヨガスタジオLAVA(ラバ)やCALDO(カルド)を始め、ヨガの中でも定番人気を獲得したホットヨガ。
ですが、その効果についての認識は少し誤解があるのも事実です。では、ホットヨガの本当の効果とは何でしょうか?日本ヨガ連盟公式インストラクターである私が、解説していきます。
目次
そもそもホットヨガって何?
ホットヨガとは、室温が約40℃、湿度が約60%の室内で行われるヨガ全般を指しています。ヨガの種類は多く、大元の話をすればインドで生まれた流派ごとのやり方の違いが本来の種類分けとなるのですが、それとはまた別に、『汗を流して気持ち良くなる』ことにフォーカスされたのがホットヨガです。
ですので、ホットヨガと一口に言っても、そのプログラム内容は様々で、初心者向けのビギナーヨガであったり、トレーニング要素の強いパワーヨガ、フィットネス要素の強いオリジナルエクササイズなど多岐にわたります。
ホットヨガは難しいものじゃない
ヨガを知らない方に聞くと多くの人がこういったイメージを持っています。
- 何やら難しいポーズをするもの
- カラダが硬い人にはできないもの
- 精神性とか宗教観とか、ちょっと小難しいもの
こういったイメージを払拭し、よりヨガに親しんでもらうために、民間のヨガスタジオを運営する会社が生み出したものがホットヨガで、より汗をかきやすい環境で行うもの全般をホットヨガと言います。
ヒトミ
ホットヨガはなぜ人気になったのか
では、なぜホットヨガはこれほど人気になったのか。その理由は大きく言って下記の3つです。
- 汗を流すことの爽快感があり、サウナよりキツくない
- 専用の施設で行う『特別感・非日常感』
- 本来のヨガが持つ効果
まず、インストラクターとしてお伝えしたいのは何よりもヨガが本来持つカラダや心に伝わる効果・チカラの部分です。ヨガを通じてストレスに動じない心を養ったり、人間の体が本来持つ生命力を高めていく、というのがそれですが、その効果は中々言葉では伝わりません。
また、前項の通り、見慣れないポーズや小難しい教えばかりがイメージとして先行した結果、ヨガが一般の方に広まるまでには時間がかかりました。
しかし、多くの方がスポーツジムでトレーニングをする時は自宅でのそれよりも集中力が増すように、ヨガスタジオでヨガをすることで、よりヨガの効果を実感する方が増え、それらが口コミとなって伝わり人気となりました。
そして、何より大量に汗をかくという『目に見える効果』が、人気となった一番大きな原因ではないでしょうか。常温で行うヨガでは、自身の体やココロの変化を実感するまでには時間がかかる方も多いのですが、そこに目に見える『汗』が加わった結果、それがヨガを継続する理由となり、ヨガそのものの本来の効果を実感するところへ繋がったという相乗効果があったように思います。
ヒトミ
ホットヨガの効果は何?ダイエット?ストレス発散?
ホットヨガにダイエット効果はない?
では、ホットヨガの効果とは何でしょうか。最も誤解されがちなのが『ダイエット効果』です。
ボクシングなどの格闘技をやっている方が、試合前の減量でサウナにこもっているシーンを見た事はありませんか?
彼らは確かに体重を減らす為にサウナで汗を流しています。人間の体は9割が水分で出来ていますので、汗をかく事で減量=ダイエットになるというのは決して間違いではなく、そういった意味ではホットヨガも大量に汗をかきますからダイエット効果はあると言えるでしょう。
しかし、汗をかいて減らした体重というのは水分を補給すればすぐ戻るものです。ボクサーのサウナ減量は、汗をかいても水分を取らず、最後の最後に極限まで体重を落とすためのものです。
一般の方は喉が渇けば普通に水を飲みますし、ヨガスタジオでも、ホットヨガをやりながら必ず水分を取りますが、そうすればホットヨガで一時的に減らした体重などすぐに元通りなんです。
根本的に体重を落とす為には、脂肪を燃やす為の有酸素運動は欠かせません。また、食事管理も欠かせません。ライザップが脚光を浴びたようにダイエットを含む肉体改造にはそれなりの厳しいトレーニングと食事管理は絶対に必要で、ホットヨガだけでダイエットになるという認識は間違いです。
ヒトミ
ホットヨガはストレス発散??
では、ホットヨガがストレス発散になるという効果についてはどうでしょうか?これは、ある意味正しくある意味間違っています。
まずヨガ全般の話として、自身のココロを整える効果があります。ヨガを通じて自分のカラダと向き合って自律神経を整えリラックス状態を作り出したり、集中力を高めていくことで雑念(ストレス)を忘れる、ストレスに対する動じないココロを養う、という効果です。
これは、何もホットヨガに限った効果ではないんですね。
一方、ホットヨガならではの効果として『目に見えて汗を流せる』というのが、個人差はあるにせよ終わった後のスッキリ感・爽快感に繋がり、それが直接的なストレス発散に繋がっていることは確かです。特に、運動量の多いプログラムであればその効果は顕著でしょう。
ただし、ホットヨガは少々カラダへの負担が大きい、というのは忘れてはいけないポイントです。
40度前後の室温の中で60分ほどかけて行うことが多いホットヨガのプログラムですが、これは40度のお風呂に浸かっていることと同義です。その中で軽めとは言え短くても45分間程度、運動を行うわけですから、人によってはカラダへの負担が大きすぎ、かえって体調を崩してしまう人がいることも事実です。
そうなればストレス発散どころではありません。
ヒトミ
その他のホットヨガの効果とは?
ヨガの基本的な効果は何度も述べているように『自分の心とカラダを知り、向き合い、整えていくこと』ですが、ホットヨガならではの効果としてはその他にも『柔軟性が上がる』ことと『冷え性・腰痛・むくみの解消』という点があげられます。
まず、柔軟性ですが、人間の筋肉は冷えている時よりも暖めている時の方が柔らかく伸びやすくなります。これは室温が高いホットヨガならではの効果で、カラダを伸ばし・開き・ねじる動作の多いヨガをする上では良い環境です。
また、筋肉を柔らかくすることで、不意の事故・ケガを予防する効果もあります。
加えて、ホットヨガは高温で行うことから入浴と似たような効果が得られます。心臓の働きが活発になることで血液の循環が良くなり、カラダの末端まで血液が流れやすくなり、リンパの流れが良くなります。
その結果、肩こり、腰痛、冷え性、むくみなど血流が原因とされる諸症状が改善される効果が期待できます。
一方、『汗をかくことでデトックス効果がある』というのは間違ってはいませんが効果は微々たるものです。
「Environment International」学術誌に掲載された研究報告によると、汗をかくことによる老廃物の排出は腎臓・肝臓が担う役割と比べるとごくわずか(体内の老廃物排出全体の2~3%程度)とのことです。
勿論、ココロのリフレッシュという意味では十分な効果が得られる『発汗』ですが、デトックスという如何にもな流行り言葉には踊らされないよう気を付けたいところですね。
ヒトミ
ホットヨガの効果まとめ メインはストレス緩和
これまで述べてきた通り、ホットヨガの効果は様々ありますが、メインは心のリフレッシュ、つまりストレスの緩和・解消といったところでしょう。
ダイエットやデトックスは、ただ漫然とホットヨガをやるだけでは大きな効果は望めません。また、これはホットヨガに限らず、どんなヨガでもやり始めてすぐ劇的な効果を得られるわけではありません。
特にヨガが本来持つ精神性の部分は人により感じ方は様々ですし、インストラクターとの相性も含めて合う・合わないは個人差があります。
それだけに、目に見えて『汗をしっかり出した!』と感じられるホットヨガは気持ちをスッキリさせ、ヨガがカラダにも心にもキモチイイもの、というのをすぐに感じられる、という点で非常に始め易いヨガの一つでしょう。
これからホットヨガを始めようという方は、是非とも自分に合うプログラムやインストラクターを見つけ、良い体験をして頂きたいな、と思います。
ヒトミ